モバイル機器を軽量化・薄化するために、半導体のチップを薄化するだけでなく、パッケージを薄化することが必要になってきています。こうしたパッケージの薄化要求にこたえて、半導体用の封止樹脂などを低背化するため、グラインディング(砥石による研削加工)が多く用いられています。樹脂のグラインディングにおけるワーク(加工対象物)は、個別のパッケージ、複数パッケージがつながったストリップ基板、ウェーハなど、さまざまです。
近年、スマートフォンなどの携帯端末に搭載されるロジック半導体には、ウェーハレベルパッケージ(Fan-In Wafer Level PackageやFan-Out Wafer Level Package)と呼ばれるパッケージの採用が増えています。これらはウェーハ状態で一括封止を行い、封止樹脂やモールド樹脂をグラインディングにより薄化加工し、個々のパッケージをダイシング(砥石による切削加工)により切り出して製造します。パッケージを積層する構造の場合は、樹脂をグラインディングするだけではなく、樹脂とシリコン(チップ)を同時にグラインディングしたり、樹脂と金属(電極)を同時にグラインディングすることもあります。
樹脂をグラインディングする際には、グラインディングホイール(研削加工用砥石)の目詰まり対策が必要です。加工中にグラインディングホイールの砥石加工面に樹脂が付着して生じる目詰まりは、研削加工不良につながります。そのため、目詰まりが発生しにくいグラインディングホイールの選定が必要です。
樹脂は反りが生じやすい素材で、樹脂の厚さが厚いほど、ワークが大きく反る傾向にあります。グラインディング前のワークが大きく反っている場合は、ワークの自動搬送や、加工テーブルへの吸着固定ができないことがあるため、グラインダ(砥石による研削加工機)の搬送部品や加工テーブルへの吸着固定に対策を施します。グラインディング後のワークは、反りが低減する傾向があります。
個々のパッケージやストリップ基板をグラインディングする場合は、複数のワークを1度に加工するために、フレーム固定による多枚貼り加工をおこなうことがあります。