レーザーによる切削加工(レーザーダイシング)

レーザーによる切削加工

レーザーダイシング

レーザーによる切削加工の概要

レーザー(Laser)はLight Amplification by Stimulated Emission of Radiation = 誘導放出による光の増幅の頭文字をとった略称です。

レーザー加工は大きく分けて連続波発振動作(Continuous Wave Operation : CW Operation)加工とパルス発振動作(Pulsed Operation)加工の2つがあり、半導体基板の個片化加工では熱的影響を抑えた加工ができるパルス発振動作加工が主に使用されます。

ディスコのレーザー加工には
・アブレーション加工
・ステルスダイシングTM加工
の2種類の加工方式があります。

アブレーション加工

レーザーアブレーション加工

アブレーション加工は高エネルギーのレーザーを加工対象物の表面に集光し、加工対象物を溶融、昇華させ体積除去する加工方法です。加工対象物の硬さに影響されない加工であるため、さまざまな材料を加工対象とできます。また、加工対象物に接触せずに加工できるため、機械加工で発生しやすいチッピングやクラックの無い高品質な加工が可能です。

アブレーション加工では、加工対象物を加工した際に微細な加工くずが発生します。加工くずが加工対象物の表面に付着すると純水洗浄だけでは除去できず、ボンディング不良などの不具合を発生させる場合があります。そのため、アブレーション加工前に加工対象物の加工面に水溶性樹脂をスピンコートすることで、アブレーション加工時の加工くずが加工対象物の加工面に付着することを防止し、アブレーション加工後に純水洗浄のみで加工くずと共に水溶性樹脂を除去する方法が一般的です。

溶性樹脂の有無による、加工くず付着の防止比較
水溶性樹脂の有無による、加工くず付着の防止比較

ステルスダイシング加工

レーザーステルスダイシング加工

ステルスダイシング加工とは、加工対象物に対して透過性となる波長のレーザーを加工対象物の内部に集光し、改質層(=結晶性が乱れた層)を形成した後に、テープエキスパンドなどで個片化する加工方法です。加工対象物の内部を加工するため、加工対象物の表裏面に傷が付かず、加工くずの発生を抑制できます。

テープエキスパンド

また、ステルスダイシング加工は水を全く使わないドライ加工なので、MEMSなど負荷に弱い加工対象物の加工に最適です。ステルスダイシング加工は加工幅を細くできるため、加工対象物のストリートリダクションにも大きく貢献します。

テープエキスパンド

ディスコはステルスダイシング技術の特許ポートフォリオを有する浜松ホトニクス様のアライアンスパートナー*です。

*ステルスダイシング技術に関する特許ポートフォリオを包括的にライセンスされている業務提携先であるシステムインテグレーター
https://www.hamamatsu.com/jp/ja/product/semiconductor-manufacturing-support-systems/stealth-dicing-technology/alliance-partners.html

使用する精密加工装置

フルオートマチックレーザソー(レーザーによる全自動切削加工機)

ステルスダイシング対応機は、浜松ホトニクス社がディスコ向けに開発したレーザと光学系をモジュール化したSDエンジンを組み込んだ装置です。

フルオートマチックレーザソー

現在販売しているレーザソーにはさまざまな自動化機能が付与されています。
主に搬送、加工位置の自動認識、洗浄機能が含まれており、加工対象をカセット単位で処理することができます。

使用する精密加工ツール

アブレーション加工:レーザー発振機、レーザー加工用水溶性樹脂
ステルスダイシング加工:レーザー発振機

レーザーによる切削加工の主な加工対象

・半導体ウェーハの切断加工
・半導体パッケージの切断加工
・各種、電子部品や光学部品応用デバイスの加工


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