ダイヤモンド(C)の加工

ダイヤモンド

C、炭素、ダイヤ、金剛石

元素名
炭素
英語名
Diamond
物質区分
ダイヤモンド構造

ダイヤモンド(C)の元素、成分、組成など

ダイヤモンドは炭素やグラファイト、フラーレンの同素体で、ダイヤモンド結晶構造と呼ばれる炭素Cの4つの荷電子が全て結合に使われている物質です。ダイヤモンド結晶構造は、面心立方構造の原子配列を2列、互いに1周期の1/4だけ立体対角線方向にずらし重ね合わせた構造で、原子同士が強い共有結合をしています。自然界に存在する物質の中では最も固く、硬さの基準である「モース硬度」において最高ランク10に分類されているのはダイヤモンドのみです。しかし、ダイヤモンドの靱性はそれほど高くなく正八面体の結晶体で劈開面を持っているため、瞬間的に強い力を加えると簡単に砕けてしまいます。
天然ダイヤモンドは5万気圧、地下150kmより深いところで長い時間をかけて生成されます。一方、工業で使用されるダイヤモンドは90%以上が合成ダイヤモンドです。天然ダイヤモンドの生成プロセスと同じ高温高圧条件を人工的に再現し、原料である黒鉛をダイヤモンド化させます。合成ダイヤモンドは、天然ダイヤモンドと結晶構造・物理的特性等においてほぼ同じものが生成でき、硬さや熱・電気伝導性、電子移動度は天然ダイヤモンドよりも優れた特性を有します。

化学式 C
結晶構造 ダイヤモンド結晶構造
融点 3548 ℃
電子移動度 2,200 cm2/Vs
熱伝導率 22 W/cm・K
バンドギャップ 5.45 eV (300K)

ダイヤモンド(C)の特徴

ダイヤモンドはバンドギャップが5.45eVと広い半導体であり、絶縁耐圧や熱伝導率、耐放射線性能といった物理特性がシリコンや炭化ケイ素、窒化ガリウムなどの半導体素材より高く、理論的には半導体素材として究極の特性を有することが知られています。このように半導体素材として非常に優れた特長を持つダイヤモンドですが、800℃以上の高温の鉄、ニッケル、コバルトと接触すると、熱化学反応により表面の炭素原子が先述した材料中に拡散して損耗します。

ダイヤモンド(C)の製造方法

人工的にダイヤモンドを合成する方法として、高温高圧(HPHT)法、化学気相蒸着(CVD)法、爆発衝撃圧縮法があります。

高温高圧(HPHT)法
高温高圧法(High Pressure and High Temperature, HPHT)は、天然ダイヤモンドが生成される環境を人工的に再現して合成する方法で、1500℃という高温と5GPa以上の圧力を掛けた溶融金属の中で成長させます。炭素原子が溶媒として用いられる鉄、ニッケル、コバルト系の金属に溶解すると、過飽和になった炭素原子がダイヤモンドとして析出します。無色透明の単結晶ダイヤモンドを合成する場合は、溶媒中に窒素との化合物を作るチタン(Ti) またはアルミニウム(Al)を添加する方法があります。

化学気相蒸着(CVD)法
化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition, CVD)は、高温低圧の真空チャンバー内でメタンなど炭素を主成分とするガスと水素との混合物をプラズマで分解して、種結晶として用いたダイヤモンドの表面に炭素原子を結晶化させます。

爆発衝撃圧縮法
不活性ガスや真空、あるいは水の中で爆発衝撃によって、瞬間的に高圧・高温を発生させて合成する方法です。

ダイヤモンド(C)の応用デバイス

ダイヤモンドは他の半導体材料と比べて耐久性が高く、宇宙空間など過酷な環境での使用が検討されています。また、高周波で大電力性能のパワーデバイスに利用できる材料としても知られ、電車や電気自動車、産業機器などの制御装置に搭載することで大幅な省エネルギーが実現できるため、世界中で研究が行われています。理想的なダイヤモンド半導体は、現在主流のシリコン半導体に比べて数十倍から数百倍の高速特性、大電力高効率化が期待されています。

応用デバイスを作る上でのディスコのソリューション

薄化加工や個片化加工にディスコのダイシングソー(砥石による切削加工機)、グラインダ(砥石による研削加工機)、レーザソー(レーザーによる切削加工機)でのテストカットを受け付けています。


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